銀行は金貸しからコンサルタントへ

たまたま新聞で見た記事ですが・・・地方の銀行が取引業者同士を結びつけて両者をwin-winな関係につなげているのがにわかに成果を出しつつあるそうな。

この銀行が仲介に入って取引業者同士を銀行が営業の中で紹介していったり、たまに大規模な商談会を銀行が開催したりということ自体はそんな珍しいことではありませんでした。
私がこれまで面談した銀行の営業担当者からも商談会に来ませんかといった話や当行の取引先こんなサービスを展開している業者がいるのですが興味ありませんかというような話も何度か頂いて、実際にその中から取引を始める事例も私の周りでもありました。

銀行が取引業者同士を結びつけてwin-win関係を作るのって今更じゃんって、思っていたんですけど、これが実はもっと踏み込んだことをやっているようで・・・。

これまでの銀行主催の商談会やサービス紹介

これまで銀行が主導で開催していたサービスの紹介は、場所と時間は設定するからあとは当事者同士でよろしく!というような商談会であったり、個別の取引先のサービス紹介でもこんなおもしろいサービスを展開している業者がいるのですが、興味ありませんか?という、ただただ取引業者の紹介だけをしているのが主でした。
これは、地銀や信金といった地元の金融機関だけでなく、メガバンクでも同じような紹介をされるだけで、金融機関からすれば紹介や場所を提供することでたまたま結びつきができて、あわよくば場所と機会を作った金融機関からお金の調達やサービスの利用がより進めばいいと考えているのかもしれませんが、それぞれの企業は案外そうそう上手く結びつきが出来るものでもありません。

なぜなら、企業自身は自社の問題点として考えていることと、紹介を受けた企業のサービスが上手く結びつけばそのサービスを深く知ってみたいと思うかもしれませんが、それ以外のサービスを紹介されても自社にどう生かせていけるか、もしくはそこまで考えずにそのサービスの良さを受け流してしまうことの方が多いです。

良いサービスを持っている企業であっても、それがどのように自社で生かせるのか、どのようなコストパフォーマンスを出せるのかを伝えられないと新しい取引は始まりません。

これまでの銀行が行ってきた取引先の紹介はまさにこの状態でした。
紹介する企業のサービスは良くても、その良さは正確に相手側には伝わっていなかったのです。
感の良い経営者であれば、そのサービスの使い方にピンときて、そのサービスによって新しい取引が始まるかもしれませんが、地方の小規模な企業であればそんな余裕もありません。

明らかに自分達に良いサービスであることを伝えることが出来ないと興味さえ持たない。
それが地方企業の状況なんです。

新たな企業間取引の取り組み方

この場所やサービスをただ紹介していただけの状況に一手を打ったのが私が新聞で見た地方金融機関の取り組みでした。

先程のただ場所を提供する、サービスを紹介する、それではなく、企業から今一番ネックになっていること、経営課題となっていることを引出して、それを解決する技術やサービスを持っている企業を紹介する。

これまでは企業が自分達で考えて解決を考えていたことを、銀行が深く経営に関与して、銀行がその経営課題を解決する手助けをする、これが新たな取組です。

これまでと同じように銀行が仲介して企業同士を結びつけているのですが、その中身が全然違うんです。
従来は自分達が調べうる範囲で解決方法を探って、そのサービスを持っている業者と新たな取引を始めていましたが、ここに銀行が深く関与するようになります。
銀行は金を貸し出すことが本来業務ではありますが、実は営業の中で地元の情報をすぐに回収する強いネットワークも持っているので一企業だけで集めるには限りのある情報を銀行はさらにネットワークを広く情報を回収し、活用できる。

この情報収集能力と情報同士の結びつきを銀行がサービスとして取引先に提供するようになったわけですね。

なんだか・・・これまでも当たり前にあったんじゃない?という気持ちもありましたが、今まではそこが徹底されていなかったんですね。
または、銀行自体がその情報収集力と情報の活用方法に気づいていなかったのか。
さらには、お金にならないことには手を出さなかったのか。

実際に、この取り組みをすることで手数料をとっているかどうかはわかりませんでしたが、無料でこのような関係を構築して、将来的にこの取引が拡大したことによる資金需要が発生した時にはその銀行に恩を感じてお金を借りてくれたら良いなという狙いもあるかもしれませんが、何もせずにただただ「資金需要ありませんか??」と営業に来る金融機関よりも、経営に深く関与してその経営課題を解決してくれる金融機関のほうが少々金利が高くてもその後についてくる経営課題の解決まで考えてくれるというサービスには強い魅力を感じると思います。

実例として私も経験している

これと同じような例を私も経験しています。

基本的には調達金利が低いかどうかを一番重要視して会社の資金調達をしているのですが、一度だけ調達金利が少し高いところから資金を調達したことがあります。
それは、取引がある金融機関の中で一番業界に関しての良い情報としっかりした知識を持っている担当者だった、これを理由に金利が高くてもこの金融機関から資金を調達しました。

いつの時代も「情報」はとても大事で、特に今の時代では情報を制することが戦略的にも一番重要です。

金融機関もあらゆる情報を持っていはいるのでしょうが、その活用方法や担当者のレベルによってその情報を有効に活用できているかどうかには大きな差があります。
当時私の務めている会社に来た金融機関担当者は、その業界に関する情報に良く精通していましたし、我々が欲する情報もこまめに提供してくれていました。

これが大きな理由としてその金融機関から資金を調達することにつながったのです。

今は担当者が変わってしまい、我々が期待している情報を持ってきてくれなくなってしまったので、当時の関係が少しづつ崩れてきています。
おそらく、次の資金調達時には今の関係は解消されることが考えられるので、担当者のレベルや力の入れ具合に継続性が持たれないのが少し残念なところもあります。

その点、この新聞で紹介があった金融機関は一金融機関の中で組織としてこの取組を進められているので、もしも担当者が変わったとしてもそのサービスの継続性としては期待できる部分があるのかもしれません。
その時の担当者のレベルにもよる部分も正直大きいのですが、継続性を持つ仕組みを組織の中で構築していることは大事ですね。

まとめ

これまでの金融機関は本来業務でお金になる部分「金貸し」を意識した取り組みばかりでしたが、資金需要の縮小、金利の低下を背景にその優位性を失ってきているのが現状です。
新たな金融サービスや資金調達も拡大し、以前は高給とされていた銀行は今ではその存在感を失ってきています。

しかし、ココに来てようやく「金貸し」ではなく、地元の情報を活用した「コンサルタント」として、地域の企業を応援するパートナーとして動き出してきているのかもしれません。
この「コンサルタント」の先に地方の金融機関が生き残る術が見いだせればいいですね。

ただ、今の状況では斜陽産業の一つとしてしか見れないですが・・・。



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