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銀行員も証券マンも営業に割く時間がない
仕事で金融系の人たちと話をすることが多いのですが、最近良く話に出てくることがあります
『営業に出る時間が取れない。』
金融系の人たちは営業あってナンボの世界ですよね。
精神論で営業に出て数字を組み立てるというのがこれまでの金融マンの姿です。
そんな人たちが営業の時間が取れないというのです。
特に私が話をすることがある銀行員、証券マンの中間管理職層は特にその傾向が強く、本来は自分たちにも膨大な量のノルマが課せられているにもかかわらず、営業に回る時間を確保することがここ数年難しくなってきたそう。
営業に出る時間が限られてくると数字が伸ばせない、するとその後の強烈な詰めがあるにもかかわらず、営業活動をする時間の確保が本当に難しくなっている。
踏んだり蹴ったりですね。
つい先日は、証券マンの営業の方からこんな話を聞いてしまいました。
『私も支店内ではそこそこの管理職側にいるので、営業ノルマも膨大にあるのですが、それよりも最近は支店内の管理業務の方が多くなりすぎて、外に出る時間を確保することが難しいので、本来はこういったことは控えたい。』
こういった仕事とは、数字に何もつながらない仕事です。
どちらかというとクレーム処理に近いような後ろ向きの仕事。
こちらも一担当者を思えば申し訳ない気持ちでも対応している部分はあるのですが、そこは私も会社員なので会社からの指示によって対応しているところです。
おそらく、私にはそこそこ気を許して話してもらっているのでつい本音が出てしまったところでしょうか。
では、銀行員・証券マンにはどうして営業する時間を割けなくなってきているのか
世の中はシステム化されてしまい管理することが増えた
世の中のものは随分とシステム化され、システムで済む部分はシステム運用が当然になり、社内の仕組みも仕組みで解決し、そのシステムとシステムの間に人間が入っているような状況となっています。
この状況がはたしてそこではたらく人にとっての働き方の改善につながっているのでしょうか。
システム化されるメリットデメリット
私と証券マンの共通の意識として『世の中はシステム化されているので一人の人間ができる業務量は増えているけれども、システム化されればされるほどシステムとシステムの間の業務が増えているので、結果、それに人手を要するようになった』ということ。
システムを導入すればこれまで人がやっていた仕事をシステムがあっという間に処理してしまうけれども、システムの管理やシステムができない雑務、そしてシステム導入を理由に減らされた人員。
結果、ひとりひとりのできる業務量は増えたものの、人が減った分の業務量はまた残っている人員に割り振られるので一人一人の実感として業務が軽減されている実感が少ない。
人の管理にも忙殺される
さらに、最近は労働時間の管理も厳しくなり、一般職であれば管理される側なので自分自身の管理だけできていればいいですが、中間管理職層から上の地位になるとそうはいきません。
チームを率いているわけですから、自分の部下の数字を管理することはもちろんのこと、労働時間の管理もできないと中間管理職としての役割を果たしているとは言えません。
とはいっても、労働時間の管理ばかりしていては自分の営業ノルマを達成することもできない。
なので、いかに効率よく数字を作って、部下の管理をしていくかということがより求められてきているのが最近の状況です。
事務的な作業はシステムによって処理が早くなりましたが、部下一人ひとりの労務の管理はそうはいきません。
会社全体のシステムとして6時にはパソコンを落とすということや取り組みはできるでしょうが、部下の労務時間を守らせる、かつ、部下が数字を上げられるような環境をつくり、なおかつ支店全体の目標も達成させていくという、ほぼ無理ゲーというような状況が中間管理職に求められてきています。
顧客も実感するほど訪問回数は激減
証券マンの営業担当からも聞いたように、それまで頻繁に来ていた銀行員の営業回数も最近だいぶ減少しました。
あまり営業に来られても大変ということもありますが、一時期に比べると本当に訪問回数が減少しています。
以前は月に一回は必ず来ていた営業が、今では2ヶ月、3ヶ月に一回というペースです。
これは担当者自身の方針ということもあるでしょうが、銀行員の担当から聞いた話でも証券マンと同じような話をしていました。
『とにかく管理することが増えて営業の時間が割けない』
金融系の中間管理職はどちらも同じような状況にあるようです。
その証拠に、以前は支店に電話してもほとんど営業に出ているので折返し連絡をするというのが流れでしたが、今は支店に電話するとだいたい支店内にいます。
営業に出る時間が作れないのでしょうね。
これは証券マンも同じです。
証券マンも本来は営業に出て数字を持ってこないといけないにも関わらず、支店に電話するとほとんど支店内にいます。
しかも、最近は他の電話に出ているということも多い。
外に出れない分、電話による対応でやりくりしている姿が見えてきます。
事務作業のシステム化と労務環境の変化によって
システムツールによる事務作業の効率化はこれからも進められていくことです。
そして、労務環境の管理も国が手動で徹底されているので、この点でも今よりももっと管理体制は徹底されてくるものと考えられます。
これにより金融系の営業マンはどうなっていくのか。
銀行業界も証券業界も、ひいては金融業界全体として同じような労働環境下にあるので、とにかく効率よく営業をするしか無いというのが一つ。
これまでは定期的な訪問という数字に結びつかないような営業もできたけれども、今後は数字の見込めるところに集中的に行く。
おそらく銀行員の定期訪問的な営業が減少したのもここにあるのでしょう。
定期訪問ができなくなってきた状況で顧客はどうなっていくか。
よりシンプルな付き合いになっていくのでしょう。
融資を受けるにはどこが一番金利が安いのか。
すべてはこの判断だけに集約していくでしょう。
『付き合い』という部分でつながっていたところが、今後より薄れていく中で、お互いにメリット優先の部分がより際立ってくるとすると、条件次第でメイン行が変わることもますます増えていきそうです。
まとめ
これからもますます世の中はシステム化されていきます。
システム化により業務効率化され、生産性も向上するというのが理想的な姿と映るのでしょうが、今の所システム化とシステム化の間に挟まれて身動きしにくくなっている中間管理職の姿がとても大変なようにしか見えません。
まだ一般職として働いている側からすればシステム化による恩恵を感じる場面や経営者層からすれば欲しいデータがすぐに手に入るようになったという便利の部分がとても強調されて感じられるのでしょうが、その間に挟まれている人達の姿を目の前にすると、素直にシステム化がいいのか、そんな気分にさせられます。
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